今回ご紹介するのは、Chiyoko SUPER ROKKOR 45mm f2.8。のちにミノルタとなる千代田光学精工が、1950年代につくったライカLマウントの標準レンズです。戦後まもない日本が「いつかドイツの名レンズに追いつきたい」と磨いた一本で、絞りの刻印が梅の花のように並ぶ、通称・梅鉢デザインの鏡胴がなんとも可愛いのです。手のひらにころんと収まる、小さな真鍮のレンズ。眺めていると70年前の職人さんの手仕事が伝わってくるようです。

そんなロッコール45mmをポケットに入れて、旅に行ってきました。現代のレンズのようにカリッとはもちろん写りません。そのかわり光はふわりとにじんで、色は淡くやさしく。まるで記憶の中を旅しているような気分になるのです。

秋には、有馬温泉へ。湯けむりの向こうの古いホテル、駅を出てすぐの紅葉の絨毯……。70年前のガラスは温泉街のレトロな空気と相性抜群で、やわらかい光をそのまま画面に残してくれましたよ。ピントは手で合わせるしかないので、一枚ごとに立ち止まって、じっくり景色と向き合うことになります。このゆっくりさが、旅にちょうど良いのです。

桜の季節には、神奈川の松田へ。SUPER ROKKORでみるとボケが少しぐるぐるして、桜の花びらが絵の具のようににじむ。それが夢のようで楽しいのです。小さなレンズですのでお手軽に散歩や旅のお供におすすめです。下に作例を置いておきますので、参考にしていただけたら嬉しいです。
旅写真の作例15枚の作例
秋の兵庫*有馬温泉
桜の神奈川*松田
主な仕様
| メーカー | 千代田光学精工(Chiyoko/のちのミノルタ) |
|---|---|
| 銘柄 | SUPER ROKKOR(スーパーロッコール) |
| 焦点距離 | 45mm |
| 開放F値 | f2.8 |
| マウント | ライカLマウント(L39スクリュー) |
| 年代 | 1950年代 |
| 外観 | 梅鉢デザインの鏡胴・小型軽量 |















