雨雲がやって来た。
山の天候の変化は、本当にあっという間だ。



緑の鮮やかさを知らずに、
僕たちは一日中モニターを見ている。



仕事が忙しい時ほど、本物の色を
見に行かなくてはいけない。



木の橋を渡ったら、終りが近い。
もうすぐ登山が終わってしまうよ。



登山をした後は、心が晴れやか。
明日からほんの少しだけ違う日常が
待っている。



薄暗くなってゆく。
道も見えなくなる。
歳をとれば引き返すことは困難だ。
そうなる前に、自分にとって正しい道を見出そうと、
帰り道、静かに思った。



あとがき 真夏の北アルプス・槍ヶ岳 狭き頂上を目指して

 


名は体を表すと言いますが、
“槍ヶ岳”とは何て素晴らしいネーミングなのでしょう。
その山の形状を改めて申し上げる必要もないくらいです。

天空を刺す、槍の切っ先ともいえる頂上を目指し、
1100mから、それはそれは地道に登って行きました。
重いテントを担ぎ、汗を流し、右足を出しては左足を差し出す。
無限にも思えるような交差を繰り返していると、やがて
仕事のことも、お金のことも、家族のことですら全て忘れて、
この自然と山々に同化していくような感覚になります。

これこそが登山の醍醐味であり、長所かと思います。
もしあなたが悩みやストレスがあったときは、
山、特に槍ヶ岳に行くと良いでしょう。
美しい飛騨沢や、アルプスの稜線、そして孤高の三角錐が
きっと心を開放させてくれます。

そして、いよいよ最後の岩を登りきって、頂上に立った時、
誰もが、子供の頃のような気持ちに戻るでしょう。
神々が作った、北アルプスの狭き頂点で、
かつての自分と、再会してください。


――― 真夏の北アルプス・槍ヶ岳 狭き頂上を目指して 全55枚 完