西洋の城みたいな建築物を
のどかに過ぎてゆく。



下り電車と定刻まで待ち合わせ。
やや気まずい。



電車は秘境へと、ひた走る。



欅平駅。
終着駅に相応しい雰囲気。



欅平は秘境すぎて、
中国の田舎みたいだ。



まだ1時なのに日は陰る。
渓谷の一日は短い。



ひんやりとした冷気を肌に受け、
崖っぷちをさらに進む。



猿が飛び越えたといわれる、猿飛峡。
想像すると面白い。



道はここまでだった。
お遊びはここまでだという、
本来、人を寄せ付けたくない山の声が、
その奥から聞こえてきそうだった。



「こんな凄い所まで来たのだから自慢できますね」
「寄り道の延長ですよ。そこに道がある限り」



ここまで誰かが道を引いてくれたからこそ、
今、この素晴らしい渓谷に感動できる。



渓谷に目覚めた旅だった。
さあビルの谷、東京へ帰りましょう。