不思議な折れ方をした木。
山は謎が沢山ある。



木漏れ日が地面を照らし始めた。
苔たちにも朝が来たようだ。



高度を上げるたび、
山の表情が和らぐ気がする。



森林限界が近づいてきた。
もうすぐで視界が広がるだろう。



突然、空は抜けた。
甲斐駒ケ岳が見えた。
南アルプスが、飛び込んで来たのだ。



目指す仙丈ヶ岳は、緑の絨毯。
この別世界に立ち尽くした。



稜線を進むことは、
登山で一番楽しい行程。



家も会社もネットも、
全てを断ち切った時間が、
僕たちには必要だ。



果てしなく続く、頂上への道。
アルプスを前にしては、
己の一歩は、あまりにも軽い。



恐くとも進むしか無い。
なまじ迂回路が無いほうが、
踏み出せるものだ。



天候が悪化してきた。
近くの人すら見えづらくなるほどに。



ガスの中を進む。
非現実な感覚。