旅のはじまり 南アルプス・仙丈ヶ岳の稜線を歩く旅 白き頂上

 

 
 
 
何よりその姿がよい。
単純なピラミッドでもなければ鈍重な容量でもない。
その姿に軽薄や遅鈍のないところが好きなのである。 ――― 深田久弥 「日本百名山」
 
 
 
 



南アルプスに登りたい。
3000mの世界を見に、
夜明けの仙流荘にやって来た。



登山者は皆、挑戦者。



進むのは、バスしか通れぬ禁断の道。



のこぎりのようにギザギザな鋸岳。
アルプスの荒々しいシルエットに、
圧倒される。



さあ、山へ入ろう。
心と緑と同化させよう。



足元を彩る、小さな花たち。



老木の肌にそっと触れる。
その質感は歴史そのものだった。



山は命の塊。



前を進む、知らない登山者たち。



木の根は、山という臓器の血管のよう。



緑の灯火が、暗闇を照らす。