駅を出る瞬間が一番、胸高鳴る。
どんな街なのだろう。



そこは遥か遠い夏の日のような、
世界だった。



抜ける風と視線。
異国の建物。
港町だ。



港町生まれの人は、
自分だけの港の情景を
心のどこかに持っている。



賑わうビアガーデン。
一人旅は遠くから見つめるだけだ。



街はレトロ。
街頭はオレンジ。
空は無限階調。
夜景を見に、出かけよう。



夜の門司港駅。
地方駅は電車が来なければ誰もいない。



閉館間際の展望室。
カメラを握りしめ、光溢れる窓に
近づいた。



門司の街は輝いていた。
脳裏に焼きつくほどに。



ひと際目立つ、光の塊。関門橋。
その美しさに導かれるように、
足は向かう。



道路を駆ける光たちが、
関門橋から絶え間なく放出されていた。



時が止まったような街でも、
夜は更けてゆく。